日本産業衛生学会 中国地方会
地方会ニュース 第43号(令和6年7月)
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夜勤時の覚醒水準の維持と
疲労感の低減を可能とする仮眠のとり方

広島大学大学院
医系科学研究科保健科学プログラム基礎看護開発学
折山 早苗
 現在、交代制勤務は、公共性、安全性、資本効率の理由から必要不可欠な勤務形態と考えられていますが、不規則な勤務で深夜労働を伴うため、勤務者の心身および社会生活への負担が大きく、医療安全の観点からもそのリスクが指摘されています。特に看護職の夜勤・交代制勤務は、製造業等における交代制勤務のような作業内容が規則的で、通常時間外労働の生じない勤務形態とは異なり、患者の緊急入院や急変時対応等のさまざまな要因によって、勤務中は患者の生命にかかわる継続的な緊張感を伴うといった特徴があり、交代制勤務の中でもとりわけ労働負荷が高いといえます。
 看護職のシフト勤務は大きく二交代制と三交代制に分類され、二交代制勤務の中でも夕方(16:00頃)から翌朝(09:00頃)までの16時間夜勤は、朝方の強い眠気や脳の疲労によりパフォーマンス水準が低下する中での勤務であり、医療事故のリスクが高まることが危惧されています。これまでわが国では、夜勤対策としての仮眠の効果が、さまざまな視点から研究されてきました。仮眠時間は、入眠に要する時間も加味して疲労の回復には120分間の仮眠が推奨されています。図1は、16時間夜勤時の看護師が勤務中に60分間(01:00-02:00)の仮眠をとった「仮眠あり」と、仮眠をとらなかった「仮眠なし」の心拍数の変化を示しています。図1からも、看護職にとって仮眠をとらない(とれない)状況は、朝方に脈拍数が増加し過酷な勤務といえます。
 そこで、看護師の16時間夜勤の時間帯を想定し、120分間の仮眠を22:00-00:00にまとめてとる仮眠(120分)群、90分間(22:30-00:00)と30分間(02:30-03:00)に分けてとる仮眠(90+30分)群、仮眠なし群の3条件を比較検討しました1)。図2は疲労感の変化を示しています。仮眠のない群は朝方にかけて疲労感は直線的に増加し、仮眠をまとめてとる群もいったん仮眠後に軽減しましたが、朝方にかけて徐々に増加しました。仮眠を分けてとる群は、仮眠の効果が持続し、04:00-09:00に他の2群と比べて有意に疲労感の低減効果を認めました。この結果から、夜間帯に長時間勤務が設定されている場合、早期に120分の仮眠をまとめてとるよりも120分間を90分と30分に分けて仮眠をとる方が、疲労感の低減効果を持続することが示唆されました。

 次に、仮眠の組み合わせにより、仮眠の効果に違いがあるのか、新たな疑問が生じました。そこで、仮眠の組み合わせに着目し、90分間(22:30-00:00)と30分間(02:30-03:00)の仮眠(90+30分)群と、30分間(23:30-00:00)と90分間(02:30-04:00)の仮眠(30+90分)群、仮眠をとらない群の3条件を確認しました2)。疲労感(図3)や反応時間(図4)に関しては、仮眠(90+30分)群が疲労低減効果や反応時間の短縮を認めたことから、単純作業に適していると思われます。また、計算量(図5)については、仮眠(30+90分)群に有意な低下を認めなかったことから、計算など認知課題のパフォーマンスを必要とする職種に有効であることが示唆されました。
 この成果は、看護師に限らず長距離トラックのドライバーや工場労働者など、夜勤従事者にとって有効な仮眠のとり方として役立つことが期待されます。仮眠を活用することで、交代勤務者の心身の負担軽減と安全安心な職場環境の醸成に貢献できると考えます。

1) Oriyama S. Effects of 90- and 30-min naps or a 120-min nap on alertness and performance: reanalysis of an existing pilot study. Sci Rep. 2023, 18;13(1):9862. doi: 10.1038/s41598-023-37061-9.
2) Oriyama S. A 90-followed by a 30-min nap reduces fatigue whereas a 30-followed by a 90-min nap maintains cognitive performance in night work: A randomized crossover pilot study. Sleep Med. 2024,117:107-114. doi: 10.1016/j.sleep.2024.03.010.
第97回日本産業衛生学会(広島) 開催報告(お礼 及び 中間的な事後ご報告)

第97回日本産業衛生学会開催報告 

企画運営委員長
三菱ケミカルグループ株式会社

真鍋 憲幸
中国地方会の皆様には、第97回学会の計画、準備、会期中の種々のオペレーション、またご参加におきまして、多大なるご支援を頂きました。改めて御礼申し上げます。
なお、事後処理・決算に加え、オンデマンド配信:2024年6月17日(月)~7月8日(月)正午までの開催もありますので、引き続き丁寧な運営を心掛けて参ります。
【ご報告事項】
1. 参加登録者数 :5,293名  (5/25(土)16:00時点)

※企画運営委員会での目標:4,500名を大きく上回りました。ありがとうございました。
 (オンデマンド配信において参加者上積みを一定数見込んでいます)
2. 実行予算計画

収支概算として、赤字決算になることはない見込みです。(皆様のお陰様です)

最終的な決算は、例年通り本年年末頃を想定しております。タイミング的には秋の総会には間に合わない(本部及び外部の監査までは終わらない)と思いますが、確定後、正式に地方会の皆様には詳細をご報告させて頂きます。
3. 企画について

 上述のとおり、極めて多彩なコンテンツをラインナップすることができました。これも多数の皆様に企画の公募段階から会期の運営におけるまで、多大なご協力を頂いたお陰様です。残りのオンデマンド配信、事後処理についても誠実に務めて参りますので、引き続きご協力の程よろしくお願い申し上げます。
第68回中国四国合同産業衛生学会(岡山)のご案内


高尾 総司
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
疫学・衛生学分野准教授
 このたび、合同地方会を岡山県岡山市で開催します。
 会期は、11月23日(土祝)と24日(日)の二日間で、会場は岡山大学鹿田キャンパスになります。テーマは、「労務管理と健康管理の間隙を埋める」としました。
 以前から、勤怠に問題の生じた労働者の対応については、就業規則に沿った注意や指導をする前から、産業医や保健職に安易に「面談」を求める傾向はありました。健康問題が実際に背景にあり、当該労働者も誠実に職務を遂行せんとする意思意欲が確たるものであった時代においては、私たちの努力も一定の功を奏していたと記憶しています。しかしながら、近年では、意識も変わり、いってみれば労働者と企業の両者に妥協を求めるような提案に対して、譲歩しない両者の間で産業医や保健職がジレンマに立たされるだけではなく、両者の紛争に当事者として巻き込まれるような事態も、他人事ではなくなってきました。すなわち、労務・法務との役割分担をどう考えるかは、もはや先送りすることのできない、真正面から取り組むべき「産業保健上の課題」となったといっても言い過ぎではないでしょう。
 本学会では、このような問題意識から前園綜合法律事務所弁護士前園健司氏および株式会社Office d'Azure社会保険労務士森悠太氏に、事例検討および事例検討を踏まえた特別講演を行っていただきます。
 日頃の業務でお忙しいことと存じますが、是非、岡山にお越し頂きますよう、何卒、よろしくお願い申し上げます。
理事会報告
理事会報告(2023年度第4回、2024年度第1回)

三菱ケミカルグループ株式会社
真鍋 憲幸
■第4回理事会(2023/12/23 開催)
<主な審議、協議、報告事項>
1.2024年度事業計画(案)
<公益目的事業>

I. 産業衛生に関する学術集会、後援会、研修会等を開催する。
第97回日本産業衛生学会 2024年5月22日~25日(広島市(会場およびライブ配信、オンデマンド開催)、中国地方会担当)
第34回日本産業衛生学会全国協議会 2024年10月3日~5日(木更津市、関東地方会・産業医部会・産業保健看護部会・産業歯科保健部会・産業衛生技術部会担当)
II. 学会誌、学術図書の刊行、および産業衛生に関する資料の収集、編さんを行う。
III. 許容濃度等、産業衛生に係わる各種基準等を勧告する。
IV. 産業衛生専門職の研修教育を行い、資格認定する。
V. 10常設委員会活動を行う。1非常設委員会活動(ダイバーシティ委員会)を行う。
VI. 9地方会活動を行う。
VII. 4部会活動を行う。
VIII. 29研究会活動を行う。
IX. 国際交流を行う。
<法人運営事業>
2023年度学会賞・奨励賞・功労賞を授与し、2024年度名誉会員・学会賞・奨励賞・功労賞の推挙を行う。
役員改選を行う。
2.2024 年度の予算案等について
3.100 周年事業について
歴史的資料の収集、整理、電子媒体での保管
テーマ:「次世代が残したい産業衛生学の百年」
4.第 97 回日本産業衛生学会 準備進捗状況
日本医師会産業医研修会単位認定の厳格化対応(必須事項)→ビーコンの活用
5.第34回日本産業衛生学会全国協議会 準備進捗状況
※参考2025年以降の学会予定
日本産業衛生学会:
 第98回  仙台市(2025年5月14日(水)~5月17日(土))
 第99回  大阪市
 第100回 北九州市
全国協議会:
 第35回 四国地方会担当
 第36回 中国地方会担当
6.産業医部会報告
<活動報告> 産業医部会報第79号発刊、令和5年度第3回産業医部会幹事会、
第33回全国協議会関連、産業医部会化学物質管理 WG
<活動予定> 第28回産業医プロフェッショナルコース開催、令和5年度第4回産業医部会幹事会、産業医部会報第80号発刊
7.産業医部会からの意見発出について
「リスクアセスメント対象物のリスクアセスメント結果に基づき健康診断の要否等を決める際の考え方についての指針(産業医・健康診断実施機関版)」
日本産業衛生学会 産業医部会 化学物質管理 WGにより発出準備中。
8.業務執行理事報告
外部組織からの協力依頼に対する対応の原則
後日理事会への報告を前提として業務執行理事会で検討・判断できるように以下の原則を定めたい。
1) 行政機関等からの委員の推薦依頼があった場合
日本産業衛生学会として適切な内容であることを確認する。
学会として委員の推薦を行う。
※外部組織によって内諾が取られている場合には当該会員の推薦を原則とする。
委員会には専門家として個人の立場で参加し、学会の代表性を有しないことを前提とする。
2) 他学会から、公的研究事業に共同研究機関として参加依頼があった場合
日本産業衛生学会として適切な内容であることを判断する。
学会窓口となる担当会員を選任する。
※必要が生じた場合には、担当会員を交代することがある。
※必要が生じた場合には、担当会員を中心とした複数の会員からなる研究班を
 形成することがある。
3) 他学会から、連携シンポジウムへの参加依頼があった場合
日本産業衛生学会として適切な内容であることを判断する。
学会として参加の推薦を行う。
※外部組織によって内諾が取られている場合には当該会員の推薦を原則とする。
シンポジウムには専門家として個人の立場で参加し、学会の代表性を有しないことを前提とする。
2024年度第1回理事会(2024/4/13 開催)
<主な審議、協議、報告事項>
1.2024 年度の総会の開催について

2024年5/22 14:00~17:00 広島国際会議場 フェニックスホール
 ※2023年度決算報告案・名誉会員の推薦など第1~6号議案等
2.2023年度事業報告案について
学術集会等の開催、学会誌等の刊行、許容濃度等の勧告、専門職の教育等、委員会活動、地方会活動、歩合活動、研究会活動、国際交流、学会賞・奨励賞・功労賞の表彰など
3.2023年決算報告案について
4.2024年度重点活動方針と進捗について
専門人材の育成および科学的エビデンスや実践モデルの提示、学会組織の法人格や地方会の在り方など16項目。
5.政策法制度委員会の提言
産業保健サービスを小規模事業場(従業員数50人未満)へ提供するために(案)
6.学会賞、奨励賞について
学会賞の公募手順等について報告があった。奨励賞は2025年度から学術部門と実務部門に分けて選考することが提案され承認された。
7.その他:災害時の情報発信の流れについて検討
8.第97回(広島、2024.5/22-25)・第98回(仙台、2025.5/14-17)
  日本産業衛生学会準備状況報告

※参考:第99回:大阪、第100回:北九州
9.第33回(甲府)全国協議会会計報告
10.第34回(木更津、2024.10/3-5)・第35回(徳島、2025.11/27-29)全国協議会
  準備状況報告

※第35回の開催日は、産業ストレス学会の開催日と重複する
  →致し方なくこのままの日程とす。
11. 4 部会長報告・産業医部会報告など
12. 専門医制度委員会報告
専攻医資格認定試験(広島、2024.5/23)
産業衛生専門医資格認定試験(パナソニックリゾート大阪、8/24, 25、申込 5/1~)
13. 社会医学系専門医協会報告、編集委員会報告、許容濃度等に関する委員会報告
14. 生涯教育委員会:
第15回ベストGP賞および GP奨励賞選考報告
15. 広報委員会報告、ダイバーシティ推進委員会報告
16. 業務執行理事報告
100周年ミッション 重点活動 好事例の情報共有など
各県報告 広島県報告


マツダ株式会社 安全健康防災推進部
山下 潤
  日本における労働生産人口は,将来低下傾向を示す予測となっています。マツダ㈱にもその影響が徐々に出てきており、2023度は近年ないレベルの多くの派遣社員に生産ラインに加わっていただくことになりました。一方、過去ライン作業に関わる新入生や、期間社員等が増えた時期に筋骨格系障害の疾病増加傾向があったように、仕事に慣れない人が増えるタイミングは疾病管理の観点から注視すべき時期でもあります。今回はマツダ㈱における変化点でもあった2023年度の筋骨格系障害の発生状況について報告させていただきたいと思います。
 マツダ㈱では職場で発生した作業関連性の判断がつかない筋骨格系障害について傷病報告として申請する制度があります。その中でも医学的な判断が必要なケースについては産業医が作業関連性・個人要因の有無、職場での改善取組の必要性、適正配置や就業制限の必要性等について意見書として職場にフィードバックする形で運用されています。傷病報告の数を見てみると例年は20-30件で推移していますが、2023年度は68件と2倍以上に増えていました。変化が傷病報告増につながった傾向はありそうですが、産業医意見書における作業関連性の視点から見てみると、作業関連性が「強い」・もしくは「比較的強い」と判断されたケースは10件と例年並みでした。疾病の種類でいうと複数発生した疾患は手の炎症性疾患が2件、肋骨骨折など疲労骨折が2件と比較的内容がばらける結果となっています。これらの要因を「作業負荷の評価」「作業手順における負荷の適正化」「作業の順守」のカテゴリーで分けてみると、社内の負荷評価基準で負荷を推定できず大きな負荷がかかっていたケースや男女の体格差が負荷の差につながったケースなど、「作業負荷の評価」の問題が6件、負荷的に高いことはわかっているものの構造的に負荷の軽減が難しい工程など、「作業手順における負荷の適正化」が4件と今までも対策を行いながらも解決につながっていないものが散見され、ライン開発時からの負荷低減の視点を持つことや、大きな投資を想定した職場改善対策など、新たな枠組の対策も考慮した継続的対策が必要と捉えられる結果となりました。
 一方、傷病報告の全体の数が増えていることを考えると、作業関連性が「弱い」・「比較的弱い」と判断されたケースが大幅に増えたことになります。これらの要件をその発生要因について同様に見てみると、92%が「作業の順守」に含まれるものという結果となっています。作業関連性の判断を行う際には、作業負荷が疾病の理由として矛盾しないか、疾病の負荷が他の作業と比較して特別高くないかを基準に判断することが多いですが作業負荷の程度を定量的に評価することは本来かなり難しいです。ただ、マツダ㈱のように「負荷を要素に分けて定量化するシステム」があり、「同様の負荷の中で順化し、問題なく作業を行っている多くの社員を確認できる」といった環境は、「他の作業者と比較して特別負荷が高いかどうか」といった状況を明確化しやすく、今回の結果のように作業関連性の有無を判断しやすいという側面はあるのかもしれません。

 ちなみに、職域においては、「作業負荷の評価」「作業手順における作業負荷の適正化」に目が行きがちですが、疾病予防の観点からは「作業の順守」も重要な要素の一つです。例えば過去のケースでは、労働者自身が作業のアレンジを行っており、負荷が想定より増加してしまっていたケースが認められましたが、これらは悪意があって行われたわけではなく、使い痛みが起きた場所をかばって偏った姿勢で作業を行う、負担軽減のために作業を短絡化する、作業を間に合わせようとして不必要に力を入れる、引き金工具などで必要な力加減がわからず力を入れすぎるなど、作業手順書で想定している業務方法と実際の作業方法による負荷の差、つまり作業順化の観点の問題によるものがほとんどでした。こういったケースでは初期管理表による症状の確認や順化に至るためのアプローチが適切に行われていない場合や、短絡行動に至る理由が作業手順の適正化側にあるなどの場合は作業関連性が高いと判断される事になります。
 さて、次に社員属性に目を向けてみると、確かに件数の増加に対する派遣社員の影響は大きいものでしたが、正社員も同様に作業手順の順守の問題から傷病報告に至ったケースが増加していることがわかりました。当然、派遣社員には短時間で習熟しやすい作業を準備して新たに順化してもらうことになりますが、それまでその作業についていた社員は玉突きでより難易度の高い新たな作業にうつり、その作業に順化することになります。新たな環境変化によって構成員の属性に変化が起こる際には、社員属性を問わず順化の観点からの問題が起きやすいことを念頭に、職域で起こる疾病を情報提供し、労働者の過去の作業経験に応じた作業手順の教育、起こりうる症状への対応について周知する重要性が再認識させられました。
 作業への順化を促す取組では今まで導入前の習熟教育や初期管理表、現場での動画を用いたコツの伝授など様々な形で行われてきましたが、習得に必要な時間や手順は個人によってまちまちで答えがあるわけではありません。近年動画解析ツールやセンサー等を使ってコツの数値化・定量化を行う事も模索していますが、技術的な問題や、現場で使用する際の安全性、コスト等の問題から作業困難例に限定して行われるにとどまっています。作業への順化は現場で実際にその作業について始めてスタートとなります。働く人の多様化が進む今日においては、現場で個々の特性にあった順化アプローチをいかに行うかが、働く人と仕事との折り合いをつける1番のポイントかもしれません。

各県報告 岡山県報告
岡山県代表幹事
高尾 総司
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
日笠 悠生
 今回もまた岡山県報告というより、かなり私的な報告となり恐縮です。本年度も、ひきつづき当講座院生が産業医科大学(産医大)にて開催された「産業医学基本講座」を受講する機会を得ました。いい機会ですので、受講をした日笠先生に報告をいただこうと思います。あわせて、今回は広島総会の参加体験記付きです。
 みなさま、はじめまして。岡山大学大学院 疫学・衛生学分野に博士課程の大学院生として在籍しております、日笠悠生と申します。はじめに、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は鳥取大学を卒業後、岡山県内の病院で初期研修を行い、今年度より大学院に入学し日本産業衛生学会専門医を目指すべく、まずは社会医学系専攻医となりました。産業医としては、研修医時代に日本医師会認定産業医を取得し、これから嘱託産業医として本格的にキャリアを積んでいこうというところです。さて、今回は個人的な話で恐縮ですが、産業医学基本講座と広島での日本産業衛生学会に参加してきましたので、お話させていただければと思います。
 産業医学基本講座には、私が参加した北九州市にある産業医科大学で行われる本学開催(4月~5月集中開講)と、東京開催(6月~10月の夜間・休日に断続的開講)の2種類があります。本学開催には、産業医大の卒業生を中心とする受講生と産業医大以外から集まった受講生(学外生)がいます。学外生は国内のみならず海外からの参加もあり、バックグラウンドも多種多様でした。例えば、キャリアを積まれた上でリスキリングを目的としている先生や産業医資格はすでにもっているが基本講座後に専属産業医等での就職を目指している先生、資格取得そのものが目的の先生などがおられました。最初は受講者同士の会話は少なかったですが、講座が進んでいくにつれて徐々に交流が深まり、学外生の多彩な考え方に触れたり、産医大卒の先生方のキャリアパスをお伺いしたりと自分自身を見直すきっかけともなりました。
 基本講座の講義内容は、基本となる産業保健の歴史や法令から始まり、三(五)管理やストレスチェック、有害物質等の実務面、そして最後は産業医のキャリアパスに関するものと続いていきます。約1か月半続く長丁場ですが、集中して受けることで知識が体系的に整理されていくのを実感しました。講義の内容も密度が濃いことは言うまでもありませんが、基本講座の真骨頂は実習にあるかと思います。実際の局所排気装置を利用した作業環境管理実習や実際の職場の映像を利用した模擬職場巡視など、実際の業務を想像しながら学べます。特に私は実際の産業医経験が少ない分、実際に機器をみて触れたということが重要でした。
 産業医としてこれからキャリアを積もうとしていく若手にとっては、基礎研修会50単位では埋めきれない間隙を埋めてくれる、そして基礎を叩き込んでくれる、そんな講座でした。また、非産医大卒の若手には産業保健の分野において王道とされるキャリアが存在せず、講義を通して多くの講師の先生方のキャリアを知ることができるのも非常に貴重かと思います。
 さて、話題を広島で行われた日本産業衛生学会に移したいと思います。私自身、初めての学会参加となりました。産業医学基本講座が終了した数日後に行われ、産業保健への意欲・感度が非常に高まっている状態で迎え、多くのシンポジウムや教育講演を拝聴し、産業保健の海が広いことを改めて実感しました。今回は私が参加した、学会ビギナー向けの交流イベントにスポットを当ててお話したいと思います。参加したイベントの趣旨は、一人職場で働く産業保健職が多いため、そのような方々がフィールドや職種を超えて交流できる機会を作ろう、というものでした。持ち物に「名刺」と記載されているほど、交流を前面に出したイベントであり、初めての学会で他の先生方のつながりの強さに圧倒される私には大変ありがたいものでした。最初は同地域・多職種の方とグループワークを行い、次に他地域・同職種で行いました。職種ごとの目線の違いや地域性の違い等、貴重なお話が伺えました。座長の方にお話を伺うと、元々中部地方で行われていた交流会をベースに企画されたそうで、このような交流会が他地方にも広がると産業保健のすそ野がより広がるのではないかと感じました。また、学会では微力ではありましたがボランティアもさせていただきました。シンポジウムの入退場の整理を中心に関わりましたが、どのシンポジウムも座席がほぼすべて埋まっており、学会の熱気を間近に感じることができました。3日目の夜に行われた懇親会では、赤い法被を着て会場を練り歩きつつ、広島名物と美味しいお酒で楽しい時間を過ごさせていただきました。
 未熟な産業医が、産業医学基本講座と初めての日本産業衛生学会を通して少しずつ学びを深めていく過程を少し記させていただきました。産業医学基本講座の学びの多さに関しては昨年の当県報告でも述べさせていただいたところではありますが、学会総会も考えていたよりもハードルは高くなく、ビギナーにも優しく学びの多い学会であったことをここに記して終わりにしたいと思います。
各県報告 山口県報告

山口県産業医会 幹事
堤 雄介
 去る2024年2月15日、山口県総合保健会館(山口市)において、第74回山口県産業衛生学会が開催されました。
 メインテーマ「職場復帰支援から考えるメンタルヘルス対策~求められる連携とは?~」と題し、3つの講演とシンポジウムを実施いたしました。
 基調講演では、産業医科大学産業生態科学研究所産業精神保健学教授の江口 尚先生より「メンタルヘルス対応の中での職場復帰支援の位置づけ」との演題でご講演を頂きました。 冒頭に事例提示を頂き、続いて第14次労働災害防止計画(以後、14次防)の中でのメンタルへルス対策の位置づけや、職場復帰のエビデンス等をお話頂きました。
 その後、職場復帰支援の流れ(ステップ1~5)やその中での産業医の役割や立ち位置、判断のあり方に触れて頂きながら、各ステップでの留意点や確認・評価すべき内容を具体的にお話し頂きました。最後は昨今の働き方の変化に伴うテレワーク、それに伴うオンラインでの面談指導の留意点、今後の職場のメンタルへルスの課題(健康・安全格差、自律的産業保健、複雑化・多様化する「労働」)に言及頂きメンタルへルスの中での職場復帰の位置づけに関し、網羅的にお話を頂くことができました。
 次いで特別講演として、山口労働局労働基準部健康安全課の梅本賢治課長様より「労働衛生行政の動向について」と題してご講演を頂きました。はじめに第13次防の全国および山口県における結果を、それに引き続き、山口県における第14次防の概要を説明頂きました。また、労働衛生の概況(健診の有所見者や労災認定状況)、職場のメンタルへルス対策、最後に法改正(➀リスクアセスメント対象物に係る健康診断、②化学物質管理者選任の義務化、③雇い入れ時教育の拡充、④作業環境測定結果が第三管理区分の事業場に対する措置の強化、⑤騒音障害防止ガイドラインの改訂)と最新の情報を網羅的に提供頂く機会となりました。
 次いで特別講演として、山口労働局労働基準部健康安全課の梅本賢治課長様より「労働衛生行政の動向について」と題してご講演を頂きました。
 高尾メソッド1)を元として、雇用関係の根底にある労働契約を再確認し、その上で大原則「職場は働く場所である(=職場は治療の場所ではない)」や、「業務的健康管理(全体の最適化)」と「医療的健康管理(個人の最適化)」という概念の提示を頂きました。また、復帰基準は「業務(どんな業務に就くか?)」・「労務(どのように就業するか?)」・「健康(健康上のリスクの有無)」における各基準を満たすことであり、それぞれを判断する上でのポイントが示されました。また、職域においては、病気や健康問題が絡むと医師の意見を元に対応しようとして、思考停止に陥る場合が多い事を指摘し、大原則を意識することや、医療的健康管理と業務的健康管理を整理することで、通常の労務管理知識の範囲のスキルで対応できるようになることが示されました(例:採用面接で同じことが適応されるか?で考える)。
 最後に、高尾メソッドは誰が使うのか?ということに触れて頂き、本メソッドは産業医が個人で使用するものではなく、あくまで企業が自社の制度として導入するものである(人事担当者が人事権の裁量の範囲で使用することも有りえる)ことが示され、人事的側面からの職場復帰の考え方を示して頂きました。
 最後に、メインテーマである「職場復帰支援から考えるメンタルヘルス対策~求められる連携とは?~」を題材にシンポジウムを行いました。初めにモデル事例を提示し、その事例に対して各立場からの意見をシンポジストの皆様にご講演頂きました。  一人目のシンポジストとして、角谷 力先生(株式会社神戸製鋼所 長府製造所 産業医)より「ある産業医が復職時に考えていること」として、産業医の役割や立ち位置、事業者がすべきことの整理を頂き、更に復職支援の5ステップにおいて、産業医が復帰時の判断だけでなく、休職中や復職後のフォローまで含めて関わるべきであることが示されました。また、労働者側だけでなく職場側からの情報を含めて総合的に判断する旨や、一方で、時間的な制約がある中で、本人、会社、主治医それぞれに向けた確認事項の整理や、会社側と連携する仕組みを従前から構築しておくことの重要性等が示されました。
 続いて、上原 眞弓様(三井化学株式会社 岩国大竹工場 保
健師)より、「メンタルヘルス対応における産業保健看護職としての個人・集団・組織への関わり方について」としてご講演頂きました。はじめに産業保健看護職の法的な位置づけ、産業保健看護職の強みについて言及頂き、そこから事例の情報整理、問題点、今後予測されるシナリオ(リスク)、そこから求められる本人、上司・職場、産業医、人事労務担当者との連携について整理してお話頂きました。

 最後に、企業担当者の立場として、村久木 宏様(株式会社安川電機 コーポレートブランディング本部 人事労務改革部・担当課長)より、「休復職における人事の役割と連携のあり方」として、職場復帰支援時の人事の立ち位置や、「人事がやるべきこと」、「人事がやるべきではない事」、「人事がやってはいけない事」という形で整理を頂きました。また、復職支援に留まらない人事の立ち位置・役割に言及を頂き、そのうえで、職支援時の人事の役割、更には産業保健スタッフに頼りたいことという形でお話頂きました。
当日は嘱託産業医活動に従事する認定産業医の先生方をはじめ、県内企業の専属産業医や産業看護職、衛生管理者等180名のご参加を賜り、有意義な会とすることができました。また、今回は医師会単位認定シールの運用の厳格化への対応や、今後の会のあり方の幅を広げるべく、WEB配信の検証等のチャレンジを行いました。
準備段階からご助言ご協力をいただきました山口県産業医会及び山口県労働基準協会の皆様、山口県産業看護研究会の皆様、ご講演をいただきました諸先生方をはじめ、運営にご協力いただきました山口県医師会の皆様、また全ての関係者の皆様に厚く御礼申しあげます。
文献
1)健康管理は従業員にまかせなさい―労務管理によるメンタルヘルス対策の極意
  高尾 総司, 前園 健司, 森 悠太 保健文化社
 
各県報告 島根県報告
独立行政法人労働者健康安全機構 JOHAS
島根産業保健総合支援センター
産業保健専門職 仲佐 菜生子
 島根産業保健総合支援センター産業保健専門職の仲佐菜生子と申します。僭越ながら島根県代議員を拝命しております。今回は島根県報告として、当センターの島根県における取組についてご紹介させていただければと思います。
 まずは自己紹介をさせていただきます。私は関西出身の保健師です。ご縁があり、八百万の神と六十五万の人が暮らす島根に、14年前にIターンしてきました。
 関西では看護師として勤務していましたが、島根県松江市内の病院に保健師として就職し、院内の産業保健活動に加えて、病院が契約する事業場の嘱託産業保健スタッフとしても活動しました。これが私の産業保健のはじめの一歩でした。中小規模事業場において「保健師としてお役に立てることが多い」と感じた私は、病院に勤務しながら、兼業で小さく開業保健師事業を始めました。そして、すっかり産業保健の沼にハマってしまいました。その後、働き方改革の潮流にて、全国のさんぽセンターへ保健師が1名ずつ配置されることとなり、平成30年度より当センターに入職し、現在に至ります。
 厚生労働省の外郭団体であるさんぽセンターは、労働基準行政による事業場支援の実働部隊です。事業場規模を問わず、産業保健活動のあらゆる場面でご活用いただける、非常に便利な機関なのですが、全国的に利用は低調です。利用促進のために、当センターではいくつか独自の取組をしています。
既存のネットワークの活用
 島根労働局、島根県労働基準協会、労働安全衛生コンサルタント会島根支部等の労働安全衛生機関による定例会議や、各圏域の地域職域連携推進協議会等、既存のネットワークを活用した事業推進をしています。特に今年度より始まったメンタルヘルス疾患の治療と仕事の両立支援では、ハローワーク、ナカポツセンター、障害者職業センター等の就労支援の輪に、当センターの両立支援をつなげることで、初年度でありながら充実した支援体制を構築しています。また、協会けんぽ島根支部では、会員向けサービスコンテンツに当センターの支援を組み込んでいただいています。
知名度ある機関と協働した積極的訪問
 事業場からの支援申し込みをただ待つのではなく、「こんな無料支援がありますので、おひとついかがですか」と、年間約80~100件を目標に、新規開拓のための積極的訪問をしています。その際、年度ごと発行の島根労働局長文書『島根さんぽセンターをご活用ください』を持参することで、訪問を受け入れていただける率が格段に上がっています。
 また、各圏域保健所の壮年期担当者と合同で事業場訪問を行い、当センターの知名度の低さをカバーするとともに、2~3年おきに異動する地域保健の保健師さんたちに、産業保健支援事業についてご理解いただけるよう努めています。
極限まで柔軟な受付対応
 公的機関である当センターは、支援の枠組みが細かく定められており、ご依頼全てにお応えできるわけではありません。しかしできる限り丁寧に、業務基準と事業場のご希望との落としどころを探っています。結果としてご希望に沿うことができなかったとしても、「さんぽセンターが親切に対応してくれた」という印象を積み重ねることで、事業場との信頼関係の構築を目指しています。
④. 小規模事業場との2度目の出会い
 「労働基準監督署から『地産保で有所見者の医師の意見聴取をするように』と指導を受けました」というのが、多くの小規模事業場との最初の出会いです。せっかくの機会を、その場限りで終わらせないため、医師の意見聴取後に地産保登録保健師が訪問支援する流れを作っています。「この保健師さんにまた来てもらいたいな」と感じてもらうことが、小規模事業場の産業保健の入り口になると考えます。今後は登録産業医や労働衛生工学専門員の訪問についても検討して参ります。
産業保健スタッフ交流会
 私が入職した平成30年度に「産業看護職交流会」および「衛生管理者交流会」を立ち上げ、現在も継続しています。今後は、産業医の先生方を対象としたネットワーク事業を推進できればと考えています。先進的取組をされている他都道府県を参考に、専属産業医がごく少数である島根県では、県医師会の産業医部会とも協働させていただきながら検討を進めることとしています。
 独自の取組として他には、令和4・5年の2年連続で労働基準監督署の監督官と「劇団さんぽセンター」を結成し、県内全域で寸劇を上演して好評を得ました。専門家の先生方に支えられた正しい知識と確かな技術、そしてさまざまなネットワークを基盤に、ユニークな方法で事業を進めることが、島根さんぽスタイルになりつつあるかもしれません。
 私個人の近況としましては、先日広島で開催された第97回日本産業衛生学会の企画運営委員会に参加できたことに大きな充実感と満足感を感じているところです。その余韻を噛み締めながら、今後も中国地方会の一員として「産業保健だいすき、中小規模事業場支援がんばる」日々を送ってまいります[注1]。

[注1]「産業保健だいすき」は第97回日本産業衛生学会企画運営委員会で発案されたキャッチフレーズで、座長・指定演者等に配付された記念品や、懇親会のユニフォーム(法被)に印字されました。
各県報告 鳥取県報告


鳥取大学 国際乾燥地研究教育機構
大谷 眞二

 先ごろ、厚生労働省より令和5年の労働災害発生状況が公表されました。これによると、雇用者全体に占める60歳以上の高齢者の割合は18.7%、労働災害による休業4日以上の死傷者数(以下、新型コロナウイルス感染症罹患によるものを除く)に占める60歳以上の割合は29.3%で、いずれも過去最高でした。60歳以上の男女別労働災害発生率は、それぞれ30代の約2倍、約4倍となっており、休業見込み期間も年齢が上がるにしたがって長期間となっています。政府も社会も、定年の引上げ、継続雇用延長、シニア世代の採用など、高齢者雇用を促進していますが、高齢者の労働災害についてはあまり注目されてこなかったように思います。
 高齢化率の高い鳥取県では、さらに労働災害の高年齢化が進んでいます。同年の労働災害の死傷者数において60歳以上が占める割合は36.1%で、全国平均を大きく上回っています。ここ10年、50歳代の雇用者の労働災害は年間100〜150件で推移している一方で、60歳以上では雇用数そのものの増加も相まって、100件程度から200件へと倍増しています。60歳以上の労働災害で目立つのは転倒によるもので、全国的にも同様の傾向であることから、本県においても労働局や各事業所などが転倒・腰痛対策セミナーの開催など啓発活動に取り組んでいますが、結果が出るまでには時間がかかりそうです。
 さて、今年も暑い夏が予想されています(この記事が出る頃には、すでに猛暑に見舞われているかもしれませんが)。比較的規模の大きな事業所や、学校現場では、以前と比べて熱中症に対する意識が向上し、実際に現場を訪問すると、暑熱環境下での労働時間の短縮、屋外活動の中止、スポーツドリンクの設置などの対策が進んでいるような印象を受けます。しかし、大半が個人事業主である農業従事者の場合、系統だった対策が遅れていることは否めません。鳥取県での熱中症救急搬送における重症者および死者の多くは農作業に関連して発生しており、そのほとんどが高齢者です。本年より改正気候変動適応法が施行され、熱中症特別警戒情報の創設や市町村によるクーリングシェルター設置などが制度化されましたが、過疎地の農業地域において、どのように適用していくかは今後の課題です。
 高齢者の労働を促進するためには、高齢者が安心して働ける環境整備も重要です。そのためには産業衛生に携わる私どもの役割も小さくないものと考えています。

編集後記
日本産業衛生学会中国地方会 会長
神田 秀幸
岡山大学学術研究院医歯薬学域公衆衛生学
 今年も猛暑の季節がやってきました。皆様方におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。熱中症、台風や豪雨など思いも寄らぬことが起こりえる時代です。生命第一、健康第一で無事乗り切ることができますよう祈念致しております。
 さて、第97回日本産業衛生学会を、中国地方会担当として無事に終えることができました。ひとえに、真鍋企画運営委員長、塩田事務局長、鎗田名誉企画運営委員長を始め、関係の皆様方に厚く御礼申し上げます。企画運営委員会・実行委員会・プログラム委員会の各委員会および委員会間の連携により、企画立案・準備段階から学会終了まで中国地方会の結束を感じたところでした。中国地方における新旧、各県、多士済々のメンバーが明るく、楽しく取り組んで頂いたことが大変印象的でした。皆様方のご尽力の甲斐あって、登録参加者数が5000名を超える盛況であったことをご報告させて頂きます。嬉しい悲鳴であり、会期中は会場の混雑や立ち見、休憩場所の不足などご迷惑をおかけしましたことを、紙上を借りてお詫び申し上げます。そうした中、中国地方会員を中心に委員それぞれが、混乱を招かないよう、持ち場に責任をもって円滑な運営に当たって下さったことに、感謝申し上げます。中国地方会の底力を感じた期間中でありました。
 さて本号は、各県から寄せられた内容を盛り込んだ紙面となりました。産業衛生学会成功の余韻を冷めやらぬうちに、各執筆者がそれぞれの専門分野や関心を持つトピックスに取り組んで頂いていることがひしひしと分かる誌面となっております。お忙しい中、ご執筆頂きました担当の皆様、有難うございました。
 全国学会が終わって、“ひとしおや”と個人的には思っております。感慨ひとしおの中、ふと文字を見ると、“ひとしおや”は中国5県の頭文字をつなぐとできるフレーズです(広島・鳥取・島根・岡山・山口)。実際は一息つく間もなく、今年は中四国合同学会が当地方会です。岡山大学高尾先生を学会長として、着々と準備が進められています。また、2026年秋には全国協議会が当地方会担当です。近い間に学会主催が続きますが、今回できた絆を大切に、中国地方会の活動を一丸となって盛り上げていきましょう。いつか感慨“ひとしおや”と感じる時間を皆さんと一緒に迎えたいものです。
 今後とも、中国地方会の活動にご理解とご協力をどうぞ宜しくお願い申し上げます。