第5回 母と子のメンタルヘルスフォーラム開催にあたって
第5回 母と子のメンタルヘルスフォーラム
会長 江尻 孝平
(岡山県産婦人科医会 会長) |
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平成31年4月1日に新しい元号が「令和」に決まりました。万葉集の「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」という歌に由来するとの説明が有りました。
安倍晋三首相は談話で、「令和」という元号に込めた意味について、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした美しい自然をしっかりと次の世代に引き継いでいく。厳しい寒さの後に春のおとずれを告げ、見事に咲きほこる梅の花のようにひとりひとりの日本人が明日への希望と共にそれぞれの花を大きく咲かせることのできる日本でありたいとの願いを込め令和に決定いたしました」と述べられています。しかしこの願いが叶えられるためには、令和の時代に生まれてくる、そしてすでに生まれてきた子供たちが健やかに成長して行くことが必要条件です。この観点からも母児のメンタルヘルスケアの充実が要求されます。
令和元年に岡山で「第5回母と子のメンタルヘルスフォーラム」を開催することは大変記念すべきことであると同時に責任の大きさを痛感いたします。
さてフォーラムは、令和元年6月1日(土)、2日(日)の両日行います。初日は相良洋子先生(日本産婦人科医会常務理事)に、「日本における児童虐待の現状と産科における育児支援の可能性」と題してフォーラム基調講演をして頂きます。次に中塚幹也先生(岡山大学大学院研究科教授、岡山県産婦人科医会理事)が岡山県で2011年から開始している「妊娠中の気になる母子支援」連絡システムの中で蓄積されたデータから、妊産婦のメンタルヘルスについてシンポジウム基調講演をして頂き、その後この岡山モデル中心に助産師・行政・保健師・精神科医・小児科医がそれぞれの立場からシンポジウムを行います。また長年にわたり岡山県ベビー救済協会が取り組んできた「一般社団法人岡山県ベビー救済協会25年の歩み」と題して中村淳一先生(岡山県ベビー救済協会 理事長)に特別講演をお願いしています
2日目は、精神科医の立場から「妊産婦の注意すべき精神症状」についての教育講演を、さらには臨床現場から十代の妊産婦、DV被害妊産婦、不妊症・不育症の女性、NICU収容時の母親等の種々のリスク因子とメンタルヘルスとの関連性につき問題点を提示して頂き、皆様と一緒に考えたいと思います。いずれの講演も母児のメンタルヘルスケアにとり有意義な情報を提供し、将来子供たちが大きな花を咲かせていく手助けとなる講演になることを念じています。
フォーラム参加のみならず、このシーズンの「晴れの国 岡山」は観光にも適し、また美味しい瀬戸内の料理も堪能できます。多数の皆様のご参加をお待ちしております。